2023年の動向
2023年の動向
<気候>
2023年は全体的に晴天に恵まれた。
しかし、生育期の前半は、2022年のような持続的な乾燥した暑さではなく、2018年のような雨の多いシーズンとなった。そのため18年同様、ベト病の問題に悩まされた。
夏の気温は総じて、2021年ほど涼しくはなく、2022年のように暑すぎることがなかった。
7月の日照時間は200時間で、30年平均を少し下回った。降水量は平均以下(-90mm)
8月の日照時間は250時間と30年平均とほぼ同じ。最初10日間の平均気温は21度、8月20日以降気温は上昇し、平均より2度上回った
9月は240時間と平均を上回った。上旬に気温が少し上がり、この時期に若いブドウや砂質土壌のブドウが収穫された。10日から12日にかけて35mmの雨が降り、バランスが回復し、さらに成熟を待つことができた。
全体として、この夏は平均を上回る気温が4ヶ月続いたが、2022年ほど極端ではなかった。
最も暑かった月は6月と9月であったが、5月末から10月中旬までの長い暑い夏があった(例年の2ヶ月間の暑さとは異なる)。
いくつかのターニングポイントがあった。
最初の発芽は例年より少し早く3月末にあった。4月上旬に多少の霜がおりたが被害はそれほど大きくなかった。
6月にべと病、ブラックロットの脅威があり、収量に大きく影響した。
9月、10月に数度訪れた熱波により、干しブドウになってしまったケースがあり、ブドウの選果が不可欠となったワイナリーが多くあった。
<ブドウの収量>
ブドウの収穫量は多く、ワインの味わいにおいてはバランスに優れた2023年は、2022年よりもフレッシュさをたのしむことができます。
メルローはベト病の影響を受けたところも多く選果が重要になりましたが、カベルネにとっては良年であったため、ブレンド比率はカベルネがやや高くなった傾向にあります。
2023年は病害や天候の移り変わりに上手く対応できたかどうかが出来上がりを左右した、「Vigneron(栽培家、生産者など醸造に携わる人々)の年」といえます。世紀のグレートヴィンテージとも称された2022年と比較すると、シャトーによって出来に差があり飲み心地はやさしい傾向にありますが、困難な状況を乗り越えたトップシャトーのワインは非常に良いものになるでしょう。
<2023年の特徴>
価格高騰が目立った2022年に比べて、収穫量が優れたことも影響し、2023年は手に取っていただきやすいヴィンテージとなりました。